die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第25章 episode.25
レイジさんは、ずるい。
こんなキスをされたら……私は、何も出来なくなる。
いつものように優しいキスは、少しだけ血の味がして、まるで何もかも溶けて受け入れられていくようで…。
抵抗する力も、その気持ちさえも奪って行った。
身体が、熱くなる。
首元で感じるくちびるの感触と、耳をくすぐる吐息が私を支配していく。
レイジさんはさっき私に、”はしたない”と言ったけれど…。
それは、恥ずかしい程に当たっているのだと思う。
もっとこうして甘いキスをしていて欲しい…。
ずっと、こうして触れ合っていられたらいいのに。
そう願う気持ちを悟られないようにしたいのに、もしかしたらレイジさんにはお見通しなのかもしれない。
精一杯抵抗したけど、何の意味も持たなかった。
こうなってしまったら、もうどうしようもなくなる。
レイジさんの腕の中に閉じ込められたまま、優しく傷跡に唇が触れたあと、また肌を舌で愛撫され、目を閉じた。