die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第24章 episode.24
すぐに溢れてできた血は、熱く私の舌に絡まってきた。
「……ん……フフ……っはぁ」
それは先程までと違い、芳醇な香りをまとい口内に拡がった。
舌の奥で味わうと、渇いた喉がすぐにそれを欲しがった。
いつもの彼女の血であると言う事はこれで明白…。
素早い処置が効いたのか、もうすっかり元通り…ですね。
「そう……良いですね……。
とても、素敵ですよ……っん……っ……」
流れ出る血を舌で受け止め、白い肌の上を滑らせる。
私が賞する言葉をかけると、血は更にその味を濃くした。
「うぁ……っ…あぁ…」
肌に唇が触れる度、舌を滑らせる度に彼女は、甘い息を吐いて脚をばたつかせた。
その様子が何とも可愛らしく、肩…鎖骨…首筋から耳元へとくちびるを触れさせる。
「…っ……っあ、…あの…っ!」
彼女は懸命に私を押し返そうと熱くなった手のひらで私の肩に訴える。
「……ちゅっ。
…何ですか?
まだ痛みますか」
「…はぁっ…はぁ……っ、いえ…あの…そうじゃなくて…」
「それなら良かったです。
では、続きを…」
「あっあの…」
「まだ、何か?」
頰を赤くした彼女は潤んだ瞳を泳がせ、必死に何か訴えようとしているようだ。
「いえ、その……。
レイジさん、全然血を吸っていない気がして…」
一度キバを立てただけで、自然と溢れ出てくる血を受け止めているだけ。
気付かれていましたか。