die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第3章 episode.3
「あ〜!逆巻さんちの!
ちょうどいいところに」
振り向くと中年の女性が居た。
「お宅ね、また曜日の違うゴミを出してたでしょ?
私だって何度も言いたくはないんだけどさ、ご近所から苦情が来てる以上言わない訳にいかないんだよね」
「……すみま…」
「それは…ご迷惑かけてごめんなさい」
レイジさんより先に謝罪して頭を下げると、おばさんは不思議そうに私の顔を見ていた。
「あ、私逆巻さんの家に引っ越して来たばかりなんですけど、これからお世話になると思うのでよろしくお願いします」
「あぁ、申請が出てた…あなたがそうなのかい。
私はここの自治会長だよ。よろしくね」
とても人の良さそうな笑顔だった。
「ゴミ出しの時間は、皆さん夜間学校の学生さんだってんで大目に見てやってるからさ、曜日くらいはしっかり頼むよ」
「配慮して下さってるんですね…ありがとうございます。
気をつけますね」
「…あ!そうだ。
いいモノあげるよ、ちょっと待ってな」
おばさんはパタパタと家の方に走り、直ぐに戻ってきた。