die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第24章 episode.24
「……ん…」
彼女が身じろぎ、その瞳を開けた。
「目が覚めましたか」
「あれ…私…?」
起き上がろうとする彼女の肩を制した。
「コウモリにやられたんですよ」
「…!!」
事態を思い出したのか、苦い顔をして私を見つめている。
「身体は何ともありませんか?」
「はい…。
…コウモリが…急にこっちをめがけて飛んできて…。
びっくりして…何が起きたのか分からなかったんですけど…。
とにかく身体が重くなって…目を開けていられなくて…。
でも、今は何も無かったみたいに、身体が楽です」
「そうですか…良かったです」
思い返しながら、ゆっくりと、しかし堰を切ったように当時の様子を話す声を聞いて安堵する。
何とかしなければ、と行った処置が功を奏して本当に良かった。
「あの、レイジさんは…?」
「私…?」
「はい。
あの…記憶がうっすらとなんですけど、レイジさんすごく苦しそうにしてた気がして…」
「あぁ…。
私は大丈夫ですよ。
何ともありません」
貴女の方が身体が怠かったでしょうに、何を言っているのか。
身体を横たえたまま、私の顔を見上げていた彼女は突如笑顔になった。
「はぁ…良かったぁ…。
あ…笑ったら、首筋が少し痛むかも」
指で傷跡に触れようとしたところで、手首を掴んでそれを制した。
何を笑っているのか。
私の無事を確認している場合なのか?
ベッドに押さえつけると彼女は驚いた声を上げた。