• テキストサイズ

die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第24章 episode.24


何とか数回吸い上げた。


しかし、ドロリとした酷い味のそれを、飲み下す事は出来ず吐き出してしまった。


「げほっ……げほっ……っはぁ……」


「レイジさん……大丈夫…なん…ですか?」


「っはぁ……何を言っているのですか?
このくらい、なんて事ありません」


「でも……」


うっすらと開けた瞳に、心配している様子が伺えた。


「私が何とかしますから、耐えるのです」


再び口をつけた。


「…ふっ……くっぅ…」


とても、舌に触れたくはない味だ。


しかし、迅速に対処するにはこの方法しか…。


あれこれと考えを巡らせている時間は、無い。


「…っ…ぅあ……」


吸い出す度に彼女は出ない声を出している。
とにかく、今は…!



ー吸い上げたものを繰り返し吐き出していった。


処置を続けていると、彼女は気を失ってしまったが、その顔色はやがて普段のものに戻って行った。


ここにこのまま寝かせておく訳にはいかない。


そう思ってベッドルームに運び、横たえてしばらくが経つ。


辛そうだったその呼吸も、今では穏やかになっている。


あのコウモリ…。
誰かの使い魔だったのだろうか?
それとも、野生の…?


今となっては分からないが、普通でないことは確かだ。


あの血の味は異常だった。


思い出したくもないが…。
/ 316ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp