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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第24章 episode.24


「……マイ?」


閉めてあるはずの、窓のカーテンが僅かに揺れている。


風……?


嫌な予感が胸の中に渦巻く。


身体が重くなるのを感じながら、一歩一歩窓の方へ近づいてみる。


「ちょっと、貴女…!」


彼女は窓際の床に倒れ横たわって居た。


駆け寄り頰に触れてみる。


意識がない?


「一体何が……」


窓を確かめてみると、やはり僅かに開いていて、窓枠の上辺には、コウモリが複数止まっていた。


その中の一匹が、口から僅かに血を滴らせているのを見逃さなかった。


身の危険を感じたのか、コウモリ達は揃ってバタバタと飛び去っていった。


窓を確実に閉める。


「貴女、しっかりしなさい!」


呼びかけるも、彼女は反応しなかった。


「…っく…、顔色が…!」


蒼白くなってきている彼女の顔を反対側へ向けてみると、首筋に血が滲んでいた。


さっきのコウモリが付けたに違いない。


「う……レイ…ジさ…」

彼女がうっすらと目を開けた。


「コウモリに…やられたのですね?」


確認すると、力なく僅かに頷いた。


「ごめ…なさ…」


苦しげに出す声は弱々しく掠れていた。


「今は黙っていなさい。
…んっ……」


私は躊躇いなくその傷跡に口をつけた。


「…うっ!……」


これは…。


少し舌が触れただけで、その酷い味が口の中に拡がった。
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