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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第24章 episode.24


「とりあえず目的地もはっきりした事ですし…。
貴女お腹は?」


「あの…それが…」


「…ん?」


突然もじもじと歯切れの悪くなった彼女の顔を見た。


何故、そんなに頬を赤くしているのだろう?


「どうしました?」


彼女の赤い頬に手を伸ばしかけた時だった。


ぐう、と言う音が耳に飛び込んできた。


「やっ…ご、ごめんなさい…!
少し落ち着いたら…お腹が…」


赤い顔をして慌てている目の前の彼女が、とても可愛らしく見える。


「わかりました。
すぐに食事にしましょう。
先ほどのスープ、いただいてみますか?」


「…あ!
わ、私やります…!」


「いえ、温め直すだけですから。
貴女は座って休んでいてください」


室内を見て回った際、キッチンには食事の用意がされていた。


部屋に入った時感じた匂いはその為だった。


私は確信めいたものを感じていた。


やはりこの部屋も、食事も、父上が用意したに違いない。


そうでなければこんなに都合よく準備されている訳がない。


私達を繋ぐこの蔦は、長めに取られていた為、ある程度は自由がきいた。


勝手の違うキッチンの、コンロに置かれてあった鍋に火を付ける。


蓋を取り中身を確認すると、トマトソースと思しき色のスープにさまざまな具が入れられているようだ。


ミネストローネだろうか。


座っているように言ったと言うのに、彼女は隣に来て私の手元を覗き込んでいた。
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