die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第24章 episode.24
念のため、室内を確認してまわった。
リビングルームにベッドルーム、シャワーも備えられていた各部屋に、特に気になる点は見当たらなかった。
それならば、今夜はここで彼女を休ませる事が出来る。
ただひとつ…、ベッドルームとリビングの間に小さな書庫があり、そこで目に止まった地図があった。
壁からはがし、リビングのテーブルの上に広げてみる。
「これって…。
もしかしてこの周辺の地図…ですか?」
「そのようですね。
…ここが、今私達のいる場所のようです」
こちらの言葉で書かれた、ざらざらとした地図を指で辿る。
「ふむ…。
この地図によれば、ここから北に向かった山中にスノードロップがあるようです。
この先を流れているこの川を目印に辿って行けば、道を間違う事もないでしょう」
文字が読めないであろう彼女に説明していると、見ていた彼女は息を吐いた。
「はぁ…。
良かった…」
「…ん?
何を安堵しているのですか?」
「あ…いえ、何も先が分からない状況だったので、明日からするべき事がハッキリして良かったなって…」
「そうですね。
…まぁ、何事もないと良いのですが…」
私は手元の地図を折りたたんだ。