die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第24章 episode.24
「?石?
…あ!本当ですね…大きめの石が…。
草に隠れて…気付いていませんでした…。
このまま歩いていたら躓いていたかも」
反省したように石を見つめる横顔を見て、繋がれた手を見えるように差し出した。
「今はこうして、貴女と私は繋がれているのですから、貴女に転ばれては私が迷惑なのですよ」
「あ…」
私はそのまま言葉を続けた。
「だいたい…貴女はこうしていても、まだ不安だとでも?
周囲の気配は貴女より私の方が感じられます。
心配しなくとも、今は大丈夫ですよ。」
私の言うことに納得したのか、安心したかのように微笑んだ。
まったく、手の掛かるひとです。
しばらく歩みを進めると、辺りを見下ろせる場所に出た。
下からの風が強く吹き上げてくる。
「あそこに灯りが見えます。
行ってみましょう」
少し遠回りしながら目的の場所まで下っていく。
空はだいぶ暗くなって来ていた。
もし休めるのであれば、休憩も必要でしょう。
それに、闇の中彼女を歩かせるのは少々はばかられる。
この先にある森からは無数の獣たちが目を覚ますのを感じていた。
下等な魔族とはいえ、油断は出来ない。