die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第24章 episode.24
"彼女自らが摘んで来た花でなければ意味がない"
繰り返し、頭の中で再生される場面。
…本当だろうか?
確かに、儀式には受ける者にそれなりの負担を強いる手順が含まれていてもおかしくはない。
けれど、父上ともあろうお方が、そのような手はずを踏まなくとも、そのお力でどうにか出来るのではないか。
いや…しかし…。
広がって行こうとする思考にストップをかけた。
いくら私が考えた所で、判るはずもないのだ、あの方のお考えなど…。
それに、他に道はないのだから、今は信じて進むしかない。
隣に目をやると、彼女が周囲を気にしながら歩いている。
足元が不安定な場所だと言うのに、まったく、危なっかしい。
「そんなに気になりますか?」
「えっ?」
突然声を掛けたからか、少し驚いた表情で彼女は立ち止まってこちらを見ている。
「随分と周りを気にしているようですから。
そんなに、珍しいものでもありましたか?」
「あ…いえ…。
何処からか狙われていたりしたら怖いですし…」
「なるほど、そう言う事ですか…。
しかし、今貴女の行く先にある足元の石には気が付いていましたか?」