die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第3章 episode.3
「あ…おはようございます」
玄関ホールの手すりを拭き掃除していると、レイジさんが降りてきた。
「えと…早起きなんですね。
学校までまだ時間ありそうですけど…」
私は昨夜寝ていたからあまり眠れなかったけれど、他の皆はまだ寝てるようだった。
「………」
レイジさんはチラリとこちらを見たけれど何も言ってくれない。
話し掛けられるの嫌なのかな…?
会話を諦めかけた時だった。
「暇そうな貴女に案内したい所があります。
来てください」
「は、はいっ」
小走りで後を追いかける。
連れられて行ったのは、意外な場所だった。
それは屋敷を出て少し歩いた所にあった。
「こちらが集積所です」
「はい。わかりました」
なんだか不相応な気がして笑いそうになっちゃうけど、連れられて来たのはゴミ出しの集積所だった。
ここに住んでる以上は大事な事だもんね。
集積所の扉を開け、レイジさんが手に持っていた袋を出していると、背後から呼び掛ける声が聞こえた。