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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第23章 episode.23


「真に知りたい事はそっちなのだろう?
扉を再生したいのは、その為の手段に過ぎない」


背中を向けたまま横顔を見せているけれど、きちんと表情は見えない。
静かに、でも確信を持ったような口ぶりは、緊張感を走らせた。


しかし、次の瞬間ふっ、と空気が緩んだのを感じた。


「はぁ……。
やはり…父上にはお見通しなのですね…」


レイジさんは力が抜けたように、背もたれにその背を預けた。


「ふっ、お前も分かっていた事なのだろう?
まぁ…あの扉が使えないままでは困るのも事実だが…」


そこまで言うと、言葉を途切れさせた。


「しかし…。
覚醒を止めるためには…ふむ…」


ひとり考え込むような素振りをする姿に、見兼ねたようにレイジさんが問いかけた。


「……何か、条件があるのですか」


「ふふっ…さすがに、お前は察しがいいな」


可笑しそうに、嬉しそうにも感じる笑い方をした後、彼はこちらに向き直った。


「必要なものがある。
この魔界に咲く、スノードロップの花を摘んで来る事。
それが条件だ」


花…?


意外ともとれる条件に、レイジさんも少し不思議そうな声色になった。


「……?花を…?
それが…儀式に必要なものと言う事なのですか?」


「そうだ。
それが無ければ、月が巡った時、彼女は覚醒してしまうだろう」


そして、二人の話を黙って聞いていた私の方を向き、語りかけてきた。


「君に、出来るかな?
覚悟はあるかね?」
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