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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第23章 episode.23


「は…はい。
ご慈悲のある配慮に…感謝致します」


儀式を行わない選択だってあるはず。


それを、計らってくれると言うのだから、ありがたい事。


私は言葉を選びながら発言した。
緊張するよ…。


「ははは…。
よろしい」


また彼はそんな事を少しも気にする様子もなく笑っている。


「待ちなさい」


私達の様子を見ていたレイジさんが声を上げた。


「貴女が魔界をうろつくと、面倒な事になるでしょう。
その花は、使い魔に取って来させます。
それくらいは、訳もない事…」


「いや。
それでは、意味がないのだ。
儀式には、彼女自らが取ってきた花でなければ」


「しかし、父上…!」


私は気持ちを整理しようとしていた。


これは…私自身の事。


あの時、屋敷を出てあのまま逃げていたら今はどうなっていたか…。


差し伸べられた手を、私が取らないわけにはいかない。


私は…!


「いえ、レイジさん…!
私なら、大丈夫です。
行かせてください」


「貴女…!
貴女がここ魔界を、城の外を歩けばどうなるか、分かっているでしょう?
…これ以上、私の手を煩わせるおつもりですか?」


「すみません…。
レイジさんの言う通り、私一人では出来ない事なんだと言うことは分かっています。
でも…私が行く事が必要なら、迷わず行きたいんです。
だってー」
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