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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第23章 episode.23


ガチャ、と扉が開く音がする。


「あ……レイジさん?
そろそろ時間ですか?」


部屋の入り口の方を振り向くと、入ってきたのはレイジさんとは違う人物だった。


「…え…?」


城には誰も居ないと聞いて居たから、驚きで心臓がどきりと鳴る。


誰なんだろう。


「お嬢さんが、マイさん…かな?」


「は、はい。
そうです…けど…」


何故私の名前を…?


そう疑問に思っているうちに、その人物はこちらに歩いてくる。


私は咄嗟に立ち上がると、後ずさった。


「…あぁ、警戒させてしまったかな。
すまないね」


「…こ、来ないで下さい…!」


何だか胸騒ぎがして、震える声を必死で絞り出した。


「怖がる事はない。
私は君に危害を加えるつもりはないよ」


そう、言われても…。


更に距離を置こうと背後を探ると、テーブルの縁が手のひらに当たり、あまり先は無いのだと告げている。


部屋から出るにはこの人を超えなければならない。


こちらを見つめる瞳が私をとらえている。


警戒心は解く訳にはいかないけれど、何だろう?
この人が言うように、確かに危険は…感じない。


そもそもこの城には不審な者は入り込めないってレイジさんは言っていた。


「ふふふ。
いい瞳をしている。
清らかで、真っ直ぐだ」


不思議な雰囲気のする瞳を見ているうちに、その場から動けなくなった。
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