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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第22章 episode.22


「…っはぁ…。
美味しい……。
この…堪らない感情は…」


牙を抜いたレイジさんは息を乱して、独り言のように呟いた。


私も、堪らない気持ちになってしまっていた。


もっともっと、この吸血に酔いしれていたい。


こんな私は、なんてはしたないのだろう。


一息つく暇もなく、うなじに向けて牙を突き立てられると、声が抑えられなかった。


「い…や…っぁ…」


どうして、何だかいつもと違うんだろう?
とても強く血を求めているように感じられる。


昨日、吸血しなかったから…?
でも、それなら普段からよくある事だ。


もしかして、魔界にずっと居るから何らかの力が作用しているとか…?


考えが浮かんでは消えるけれど、もう、何も考えられなくなりそうに頭がぼうっとしてきた。


「はぁっ…、すみません…。
貴女は…体調が回復したばかりだと言うのに…。
分かっているのですが…」


レイジさんが何とか歯止めを効かせようとしている様子は、見ていれば分かる事だ。


でも、何かいつもと違うと言う事を、レイジさん自身も感じているようだった。


「はぁ…っ。
…いつになく湧き上がってくるのです…
貴女の…血を…もっと…!と…」


肩で息をしている姿はとても辛そうに映った。


「私なら、大丈夫…ですから…。
レイジさんが望むなら…私は…」


二人を隔てるように胸のあたりにあった腕を、背中に回した。


「…っ…!そのような態度は…。
…ククッ…。
なるほど…。
貴女は私のお仕置きを喜んで受け入れると言うのですね…。
マイ…、顔を上げなさい」
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