die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第22章 episode.22
「……ん?」
レイジさんは何かを察知したように窓の外を気にすると、私から離れてカーテンを開け、窓を解放した。
隙間から見えるのは、…使い魔?
「何か、あったんですか?」
後姿から、何となく何かあったのだと感じた。
思わず椅子から立ち上がる。
レイジさんはすぐにカーテンを閉め直し、静かに口を開いた。
「父上が…この城へ来られます」
「えっ?ここへ…ですか?」
「ええ。
本来であればこちらから出向くところなのですが、たった今の伝令でそのように。
日時は明日。
貴女にも謁見して頂きますので、そのつもりで」
私も謁見って…。
私の身の上の事を考えると、心配になってくる。
身の安全の事も少しはあるものの、それよりも立場的に近づいてはいけない存在なんじゃないかと思うからだ。
「だ、大丈夫なんでしょうか…。
その…私がお会いしたりして…」
「これは父上から申し出られた事です。
私は貴女のことは一言も伝えていないと言うのに…」
レイジさんは少し考えているような素振りをした。
「おそらく、父上は色々とお見通しなのでしょう。
ご自分が把握していなかった貴女という人間が逆巻家に転がり込み、その者が今魔界に居るとなれば…。
顔を見てみたいとも思うのでしょう」
それってつまり…。
穏やかじゃない…と言う事?
…本当に大丈夫なのかな、私。
「心配する事はありません。
例え貴女がヴァンパイアハンターとして覚醒前の身だと言う事がばれたとしても、貴女をどうこうしようだなんてお考えではないと思いますよ。
何故なら…」
レイジさんはこちらに歩みを進めて来ると、私の腰を抱き寄せた。