die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第22章 episode.22
「っ!何です、これは…。
まるで、より強固になったような…」
「そんな…!
私も、やってみます」
私も手を伸ばしたけれど、同じように弾かれてしまった。
「痛っ…!」
どうして、こんな…。
思わず弾かれた手を片方の手で包んだ。
「大丈夫ですか?
とにかく、今は城に戻りましょう。
…ほら、行きますよ」
何も言えないでいる私の両肩に手を置いて、歩くように促される。
その手はとてもしっかりとしていて、思わず顔を見上げたけれど、通路は薄暗くてよく見えなかった。
城の部屋に戻ると、レイジさんはすぐに私を座らせた。
「手を、見せて下さい」
そうだった。
ナイフで傷を付けたことも、さっきの出来事ですっかり意識に無くなっていた。
ふと自分の手に視線を落とすと、傷以外のところにも血が付着している。
「あ、洗ってきます、私」
そう言って立ち上がろうとすると、制止された。
「まず、私が見せなさいと言っているのです。
従いなさい」
有無を言わさない雰囲気に、そのまま腕を差し出すしかなかった。
「…ふむ。
傷自体はナイフで付けたものだけ…ですね…。
それに、鋭い刃故にそれほど酷い傷ではないようだ」
私の手をくまなく確認すると、血が付いた所に唇を押し当て、舌で舐め取られていく。
「やっ…」
「嫌、ではありません。
大人しくして下さい」
手のひらは、触れた舌が動く度に我慢出来ないくらい私の奥底を刺激する。