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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第22章 episode.22


「…っんっ」


堪えきれず声を出してしまい、手を引こうと力を込めた。


「あの…!もう…」


大丈夫だと言いかけたところで、不機嫌そうな視線を向けられた。


「何です、まだ出ているでしょう。
処置して差し上げているのです。
邪魔をしないで下さい」


その時、咄嗟に思いついた言い訳が口をついて出てきた。


「もしかしたら、私の血を…利用出来ないでしょうか?」


「…血を利用…?」


「はい…。
扉に付けてみるとか…」


「なるほど…」


レイジさんは少し考える素振りをしている。


「貴女の血は確かに、少し特殊です。
もしかしたら、と言うこともあり得ます。
試してみましょうか」


私は少しドキドキしながら扉に近づいた。


「ただし。
危険だったらすぐに辞めさせます。
無理はしない事。
いいですね?」


念を押すように言われて、私は頷いた。


これだけじゃ、血が足りない。


ナイフを取り出すと、さっき傷つけてしまった指にもう一度刃を少しだけ触れさせた。


「っ…!」


痛い。


こう言う傷は地味にとても痛いものだ。


けれど、これで…。


血が零れ落ちそうになるのを待って、扉に押し当てた。


「………」


あたりはしんと静まり返ったままで、何も起こりそうにない。


「……えっと…。
あの、何も起きませんでした、はは…」


苦笑しながらレイジさんの方を振り向くと、頭の後ろからゴトゴトと音がした。
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