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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第22章 episode.22


「あれ…?本…?」


扉を閉めると、何も無かったテーブルの上に本が数冊積み重なっているのが見えた。


「図書館へ行っていたのです。
貴女が目覚める頃には戻るつもりだったのですがね」


「そうだったんですか。
すみません、私だけ呑気に寝てしまっていて…」


「構いませんよ。
そもそも私はあまり長く眠らないですから。
貴女はどうぞ、ごゆっくり」


本に目を落としたまま、何だかちょっと棘のある言い方で苦笑してしまった。
でも、怒ってる訳じゃなさそう…だよね?


「…さて、貴女。
本日外出は可能ですか?」


持っていた本を閉じるなりそう問われる。


「え…?はい。
もう身体も楽なので大丈夫です。
…って、どこかに出掛けるんですか?」


「少しばかり気になる事がありますので。
貴女に同行をお願いしたいのです」


私にも、何か役に立てる事?
だとしたら、嬉しい。


「はい!すぐ、準備してきます」


「…まったく…。
何をニヤニヤしているんでしょうか…」


そんな小さな呟きは耳に入る間も無く、私は出掛ける準備をした。





ー苦手な場所。


元々苦手だった事に加えて、ここで叔父さんに遭遇して今のこの状況なのだ、いい気持ちのしない所だった。


それでも、私が出来ることならば何でもしたい。


レイジさんの後を歩きながら、ふと後ろを振り返る。


「どうかしましたか?」


「あ…いえ、何でもないです」


何となく、神経質になっているのかもしれない。


立ち止まってくれていたレイジさんに小走りで追いつく。


「すぐ終わります。
もう少し我慢しなさい」


「はい」


察してくれているんだ、居心地が悪い場所だと言う事を。


レイジさんは私の手を取って引いてくれた。
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