die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第21章 episode.21
「…いい匂い…」
料理を部屋に運び込むと、起こすより先に彼女は目を覚ましたようで、ベッドから降りると傍までやってきた。
起き上がっても平気だと言うので、そのまま食事をする事にした。
「カルボナーラは…何せ急でしたので納得のいくチーズが手に入らなかったのですが、今日は我慢して下さい。
それと、温野菜のサラダに、こちらはりんごをすりおろしていますので食後にどうぞ」
テーブルに並べたプレートを見て感嘆の声を上げている。
こう言うのは、悪く無いものですね。
それに…体調が悪いと言うのにそんな幸せそうな顔をして…。
ありがとうございます、と言って笑う顔を見て、少しホッとした。
「お礼を言うのなら、食べてからにして頂きたいですね」
「えへへ。
じゃあ…、ありがたくいただきます」
こうして二人で時間を過ごせるのも、ほんの束の間の事なのかもしれない。
そう思うと、今はこの目の前の貴女の笑顔がより輝きを増して見えた。
食事の後は、自分も一緒に食器を洗うと言う彼女をたしなめ、先に休ませた。
私は片付けを済ませ、入浴してから部屋に戻る。