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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第21章 episode.21


「あ、いえ…それなら私…レイジさんのパスタが食べたいなって。
前…カルボナーラを頂いた時、とても美味しかったので」


「そんな重たいもの、今はやめておいた方がいいですよ。
もっと何か負担を掛けない…」


「…ダメ…ですか…?」


っ…!
そんな瞳をして…。


これは、おねだりでしょうか…。


「はぁ…。
わかりました。
今日は特別に我儘を許して差し上げます。
材料を買って来ますから、少し待っていて下さい」


そうだ。
今日は体調が優れない彼女本人の希望を優先させただけの事…。


決して、おねだりに負けた訳ではありません。


…ないはずだ。


そうして彼女を残し部屋を出た私は、再び扉の前に来ていた。


人間界との界の扉…。


もう一度開けようと試みてみるけれど、ガチャガチャと音が響くだけだ。


やはり開かないか…。


呪術が掛けられているのは間違いないと思うが…。


簡単なものであるとは思えないものの、いくつか単純な術を解く方法を試してみる。


「…だめですね」


無理に触ろうとしては扉ごと消えたりし兼ねない。


それでは元も子もないですし。


はぁ…叔父上。


これは退屈しのぎにしては難儀な事をしてくれました。


何より…。
今の私達には時間に余裕が無いのです。


どんよりと雲のかかった空に使い魔を飛ばすと、料理の支度に取り掛かった。
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