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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第21章 episode.21


茶葉を投入した後、計ったミルクも注ぎ入れる。


新たな方法を探す…?


いや…ここは…。


温めたカップに、出来上がったミルクティーを注ぎ、ハチミツを添える事にした。


「マイ、お茶を淹れましたよ」


「…あっ!
すみません、気が利かなくて…っ」


見逃さなかった。


彼女は確かに笑っている…。


しかし今、立ち上がりながら慌てて涙を拭ったように見えた。


「待ちなさい、貴女」


トレーを置いて、すかさず細い手首を掴むと、一瞬驚いたように目を丸くした。


「やはり…泣いていたのですね」


「…っ、あはは…。
すみません、そんなつもりじゃなかったんですけど…」


ちょっとバツが悪そうに目をそらす。


「私に隠し事は許しませんよ」


「隠し事なんて…」


まっすぐ見つめると、僅かに潤んだ瞳が見つめ返してきた。


「…あの…ちょっと思った事があって」


「何です?」


「さっき…ここを出て帰る時、名残惜しいなって思ったんです」


「…は?」


突拍子も無い言葉に、つい聞き返してしまう。


「レイジさんに呆れられても仕方ないんですけど…」


「いえ…続けて下さい」


「こっちに連れて来てくれたのに私は何も役に立ててなくて、それなのに帰りたくないなんて考えて…。
だから本当に帰れなくなってしまったのかなって思ったら…」


「…それで、貴女はご自分を責めていたのですか?」
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