die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第20章 episode.20
「…何をニヤけているのです?
そんなに休憩が楽しみなのですか?
まったく…」
「あ…そう言う訳じゃないんですけど…。
でも、ごめんなさい」
椅子にかけながら、浮かれてる事を反省していると、不意に頭に心地よい重みを感じた。
「…ふ、まぁ…良いです。
もう少し待っていて下さい」
そう言うと本に向き直った。
どうして今、撫でてくれたんだろう…。
時々こう言う事をするから、レイジさんは何だかズルい。
何となく目が離せなくて、しばらくその横顔を見つめていた。
ページをめくる音だけが耳に届いて、心地良い静けさについうとうとしかけていた頃、ゴトッと少し鈍い、本を持ち直した音が響いた。
「ん…?これは…」
「もしかして、何か分かったんですか?」
さっきまでの眠気は吹き飛んでしまった。
「…ふむ…。
まだ、可能性の域は超えませんが、試してみる価値はあるかもしれません」
手元を覗き込んでも、私には理解出来ない文字で書かれている為、それがどんな方法なのかは今は分からないけれど、レイジさんが言うのだから間違いないのだろう。
少しだけ見えた明るい兆しに、思わず笑顔になる。
「しかし、この本には続きがあるようだ」
レイジさんは立ち上がり、さっきの本棚の方へ行くようなので、私もついていく事にした。