• テキストサイズ

die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第20章 episode.20


本棚越しに、遠くに座るレイジさんの様子を伺う。


今日は禁帯出の棚を中心に見ている。


そのせいか、ここに来てからずっと休憩も取っていない。


ここにある分で少しでも何か分かるといいんだけど…。


手元にあった本の最後の一冊を棚に押し込むと、うーんと背伸びをした。


私は大して何もして居ないはずなのに…疲れてきちゃった。


おまけに昨夜はほとんど寝かせて貰えなかったせいか、眠くなってきた。


…いけない。
昨夜の事が蘇りかけて、また顔が熱くなりそうだと思ってかき消した。


窓の外に目をやると、怪しげな色をした雲が浮かんでいるのが見える。


「ふぁ…」


あくびをしかけた所で、背後から声がした。


「こんな場所で休憩ですか?」


「…あ…」


「まったく…。
私に隠れて休むなんて、許しませんよ」


「すみません…。
あの…レイジさん、そろそろ少し休憩しませんか?」


「は?休憩?
今はそんな悠長な事を言っている場合ではないと言うのに…。
しかし…まぁ…そう言えば喉が渇きましたね。
これを読んだら一旦休憩にしましょう」


レイジさんは一冊棚から抜き取ると、私にも席に戻るように言った。


今日は他に誰も利用者が居ないみたいだ。


図書館デートみたいで、楽しいな…なんて、呑気に浮かれてる自分は封印しつつ、後を追いかけた。
/ 316ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp