die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第19章 episode.19
でも、人間界と同じ植物もあるんだ。
薔薇は特に綺麗だと思った。
しばらく眺めていてふと視線を上げると、格子付きの窓が目に入る。
だいぶ登って来た感じがしたけど、どんな景色なんだろう?
気になって近づいてみると、そこからは夜景を望むことができた。
人間界の煌びやかな夜景とは違って、至る所でほんのりとした灯りが見え、ここは本当に魔界なんだなと実感する。
まるで、どこかの遊園地にでも来ているようだけど…。
その景色を眺めていると、部屋の扉が開く音がする。
「あっ…レイジさん?
ここからの景色、とても綺麗ですね」
「景色…?」
「はい。
夜景がとても…」
そこで振り返った私は言葉が止まってしまった。
お風呂上がりのレイジさん…。
髪が少し濡れてて…。
いつもきちんと閉められてる襟元が開いていて、のぞく肌がすごく色っぽい…。
「そんな風に思った事はありませんでしたが…。
まぁ…貴女にとっては珍しいからそう思うのではないですか」
近くに来て、私の後ろから窓の外を覗く気配に何だか戸惑ってしまう。
ドキドキして…。
変に意識しちゃうな…。