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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第19章 episode.19


「お父様や皆のお母様達…勝手に私が城に入ったりして怒られませんか?」


「いえ…。
そんな事は…。
…まぁ、この一件が落ち着いたら、貴女に詳しくお話ししましょう。
お気になさらず。
父上もここにはおりませんので…」


珍しく少し歯切れの悪い調子だな…。


「そうなんですか。
皆さん、お忙しいんですね…」


男の人は家族の事を話すのはやっぱりあまり好きじゃないよね。


深く追及するのはよそう。


レイジさんは無言でティーカップを傾けると、ソーサーに戻した。


「ところで、確認しておきたいのですが、貴女の覚醒はいつの新月なのですか?」


「あ…誕生日がこの日なので、次の新月です…」


「はぁ…。
そうですか…。
やはり、時間がありませんね…。
悠長に本ばかりを探している訳にもいかないですね」


「う〜ん…。
まさかうちの父に聞く訳にもいかないですしね…」


「それは、確かに言うべきではないでしょう。
余程の覚悟を持って、貴女を私達に差し向けたのでしょうし…。
それが今や、敵である私と行動を共にし、まして既に私に血を吸われ…。
こうして魔界に来ているなど、貴女の父上が知ったらどうなる事か…」


「う…」


お父さん…。


その願いに背いてしまったのだから、頼ることなんて出来ない。


レイジさんに血を分ける事に喜びすら感じている私を、許して欲しいだなんて思わない。


けれど、せめてこのままお父さんには会わないままで居たい、そう思った。
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