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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第19章 episode.19


外に出ると、歩いている方向はここへ来た時に通った道。


だけど、来た時よりも通りが少し賑やかに感じる。


空はずっと暗いけれど、もしかして一日の終わり…なのかな?


通りのレストランのテラス席には数人の男女が座っていて、こちらを見ている。


普通の…人に見えるけど、あの人達もヴァンパイアなのかな…。


そんな事を考えていたら、前を歩くレイジさんが急に立ち止まった。


「わっ…!」


「キョロキョロと周りを気にしていないで、ちゃんと付いて来て下さい。
はぐれたらどうするのですか」


「あ…はい!
すみません。
色々物珍しくて…。
魔界ってもっと…何もない所かと思っていたら、色々あるんですね」


「…父上が…。
人間の文化に興味を持っている方ですから、色々取り入れたりしているようですよ」


「そうなんですか…」


皆のお父さんって…。
どんな人なのかな。


取り入れてるって…。
レストランの経営者?
実業家なのかな…。


だから、あのお屋敷で、多妻…とか?


あ、でもそれは、文化の違いか…。


「仕方ないですね…。
ほら、行きますよ」


レイジさんはしばし考え事をしていた私の手を取ると、そのまま歩き出した。


手…繋いで歩けるなんて…。


もしかしたら危険があるかもしれないと言うのに、気持ちが舞い上がってしまう。


少し前を歩くその手を、私もぎゅっと握り返した。
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