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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第19章 episode.19


最後の一冊は高い場所だったので、館内用の脚立を使い戻した。


その時目に入った本が何となく気になり、手にとってみる。


それは、薄く埃を被っていて、暫く誰の目にも止まっていなかったようだ。


表紙を開くと、植物図鑑のようだった。


「どうしました?」


脚立の下からレイジさんが話しかけてくる。


「あの…。
これ、借りてみてもいいですか?
図鑑なんですけど…。
これなら、読めなくても写真が見られるので」


「貴女にはちょうど良いのかもしれませんね。
いいですよ」


「ありがとうございます」


レイジさんの上から話しかけるなんて、何だか新鮮だな。


片手に図鑑を持って脚立を降りていく。


「本を借りるのは結構ですが…。
その格好を気にした方が良いのでは?」


「…え?」


床に足を着けた時、私から図鑑を受け取りながらそう言われてハッとした。


スカートを両手で押さえる。


「ふふ…」


意味深に笑み、そのまま背中を向けて行こうとするレイジさんに困惑する。


ロングスカートで中にドロワーズを履いて居るのだから、そうそう見えるはずはないのだ。


「も、もう…!
からかったんですか?」


脚立を戻してその後を追い掛けた。
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