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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第18章 episode.18


「…終わりです。
では…今日はもう休むように。
詳細は貴女が目覚めてからにしましょう。
いいですね?」


「はい…」


背中に添えられていたクッションが取り除かれて、横になるのに手を添えてくれる。


「あ…あの…レイジさん」


「何ですか?」


言うまい…と思っていたのに、私の口は呼び止めてしまっていた。


何でも無いです、とは既に言いにくい空気に背中を押され口を開く。


「あの…これ以上、ご迷惑はかけたくなかったんですけど…」


「…ん…?
今更、何を言うのです?
本当に、貴女には散々手を焼きましたよ」


ため息まじりに呆れられて、そう…ですよねとしか言えない。


「まぁでも…あと一つくらいなら、何かして差し上げてもいいですよ」


横になる私を見下ろしながら、少し意地悪に微笑んでいるけれど、私はその顔を見て胸が温かくなっていた。


我ながら、変だと思うのだけど、意地悪の奥に隠してる優しさを知っているから…。
だから私も素直に甘えることにした。


「あの…私が眠るまでで良いので、傍にいて貰えませんか…?」


「そんな事ですか?
いいですよ…。
貴女が眠るまでこうしています」


レイジさんはすんなり私の申し入れを受け入れると、手を握ってくれた。


私はその様子を見て目を閉じる。


レイジさんの言葉が魔法のように、私の心を軽くしてくれたから、きっと怖い夢は見ない。


これから、どんな事が起きるか分からないけれど、この手があれば、私はどんな事も乗り越えられるような気がした。
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