die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第18章 episode.18
「貴女は私に吸い尽くされていたのかもしれないのですよ?
そんな私が差し出したもの…。
それに…ヴァンパイアハンターに覚醒前だと分かった今、そうなる前に、貴女を処分しようと考える可能性だってあります。
本当は薬ではないのでは…?
とは思わないんですか?」
「…!?そんな事、考えもしませんでした…」
まさか?
そんな。
そう言われると急に目が覚めたかのような思いがする。
口を押さえる。
身体に異変は感じないけれど…。
飲んでしまったものは、どうしようもない。
何も疑ってなかったよ…。
「…はぁ……。
やれやれ…」
レイジさんの大きなため息が聞こえた。
「先程飲まれたものは、正真正銘、貴女の為の薬です」
「よ、良かった…」
私の傍に座り、目を合わせ諭すように言った。
「貴女は自分の立場を理解して、もっと周囲に気を付けるべきですよ」
「はい…。
よく…分からない人なら警戒すると思います。
でも…レイジさんだったから…」
「貴女は…私が怖くは無いのですか…?」
怖くない…と言えば嘘になる。
レイジさんが本気になれば、今私はここにこうして居ないだろう。
力でも、能力でも、劣っている事は重々承知している。
だけど…。
「私が、一番怖いのは……自分です」
ヴァンパイアハンターになってしまう自分自身。