• テキストサイズ

die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第18章 episode.18


「貴女は私に吸い尽くされていたのかもしれないのですよ?
そんな私が差し出したもの…。
それに…ヴァンパイアハンターに覚醒前だと分かった今、そうなる前に、貴女を処分しようと考える可能性だってあります。
本当は薬ではないのでは…?
とは思わないんですか?」


「…!?そんな事、考えもしませんでした…」


まさか?
そんな。


そう言われると急に目が覚めたかのような思いがする。


口を押さえる。


身体に異変は感じないけれど…。


飲んでしまったものは、どうしようもない。


何も疑ってなかったよ…。


「…はぁ……。
やれやれ…」


レイジさんの大きなため息が聞こえた。


「先程飲まれたものは、正真正銘、貴女の為の薬です」


「よ、良かった…」


私の傍に座り、目を合わせ諭すように言った。


「貴女は自分の立場を理解して、もっと周囲に気を付けるべきですよ」


「はい…。
よく…分からない人なら警戒すると思います。
でも…レイジさんだったから…」


「貴女は…私が怖くは無いのですか…?」


怖くない…と言えば嘘になる。


レイジさんが本気になれば、今私はここにこうして居ないだろう。


力でも、能力でも、劣っている事は重々承知している。


だけど…。


「私が、一番怖いのは……自分です」


ヴァンパイアハンターになってしまう自分自身。
/ 316ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp