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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第18章 episode.18


うっすらと明るさが目に入る。


ゆっくり目を開いてみる。


夢…?


現実…?


ここは…。


「…う…っ…くっぅ…」


レイジさんの声…?


酷くうなされている。


私は、起き上がろうと試みたけれど、力が入らない。
どうやらそれは無理なようだ。


少しだけ動かせた手のひらが、レイジさんの冷たい指に触れた。


私が、温めてあげたいけど…、私の手もあまり温かくないみたい。


触れた指が、きゅっと握ってくれた。


「…マイ…?」


「はい…」


レイジさんは顔を上げると、頭を抱えて小さく息を吐いた。


「大丈夫…ですか?
レイジさんうなされて…」


「…フッ…。
貴女は…。
人の心配をしている場合ですか?」


ベッドに座り、横になったままの私を見下ろした。


「夢じゃ、ないですよね…?
私、暗闇の中で、レイジさんの事を探してたんです。
また、会えて良かった…」


レイジさんは無言のまま手を伸ばし、私の頰に触れそうになったところで手を止めた。


「……?
どうか…したんですか?」


自分の手を見つめているので不思議に思う。


「…いえ…」


「……?」


「そう、ここは…現実です。
夢の中であった方が良かったのかも知れませんがね」


「そんな事…」


あるのかも知れない。


レイジさんの言う通り、全てが夢だったら、良かったのかも知れない。
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