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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第17章 episode.17


だけどそれは、悲しく苦しげな影を背負っているようにも見えて。


その姿を見ていたら、この痛みも構わないと思っている自分が居た。


私にこうする事で、レイジさんが満たされるのなら…。


「貴女のこの血の味…何故味わったことのないものなのか…。
当然でしたね。
ヴァンパイアハンターとして覚醒前の人間の血など、飲んだ事がないのですから。
例え魔界中を探しても、そんな者はそうそう居ないでしょう」


レイジさんは笑いながら私を壁に押し付け、鎖骨に牙をあてがう。


「や……っ痛い…ぁあっ!」


噛みちぎられたような痛みに声が漏れてしまう。


「…っふ…んっ…」


頭がくらっとして、ズルズルと壁を伝い落ちていく。


「おや、もう立って居られないのですか?
だらしがないですね」


力が…入らない…。


「立ちなさい」


レイジさんは腕を掴み私に立てと命令する。


「…はぁ……はぁ…」


頭がぼんやりしてる。


震える身体は、寒さ?恐怖?
それとも悦び?


「立てないですか…。
では仕方ありませんね」


私の腕を強引に引き上げると、腰を抱かれ、布の感触が強く背中に当たる。


薄く開いた視界には、天井が見える…。
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