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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第17章 episode.17


「本当は、勝手に居なくなった事に酷い憤りを感じています。
貴女は、私のもののはず」


その手が乱暴にあごをとらえる。


「ここに来た理由は何なのか…。
何か分かったら報告しなさいと言ったでしょう?!
そして、貴女も了承していましたよねぇ?
なのに……どうして!
私に何も言わず出て行った!!」


「ごめん…なさい…」


「フン。
軽々しい謝罪など、求めていません」


ジリジリと歩み寄ってくる身体と、言い知れぬ恐怖の予感に後ずさる。


少し距離を取っても、すぐにその差は縮められ、気付いた時は背後は壁だった。


「貴女は分かっていないようですから、教えて差し上げます。
痛みと共に思い知りなさい…!」


ぱっと手を取られると、手首の内側に鼻を寄せ、鋭い牙が肌を貫いた。


「くっ…!」


耐え難い痛み。


肌が抉られ裂けた奥から赤い血が滴る。


貪るように吸われる感覚に頭がくらっとした。


「…っはぁ。
…ふふふふ…。
もっと、薄いかと思っていましたが…悪くないですよ。
…貴女のその顔もね」


牙を抜いて溢れ出した血を舌で強く舐め取られると抉られた傷跡が酷く痛む。


「——っ!」


声にならない声がか細く喉からこぼれる。


目の前で見せつけられる吸血。


ほら、憎みなさい。


そう言われているようで、それでも目を反らせない。


レイジさんが、とても綺麗な顔をしているから。
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