die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第17章 episode.17
「ここなら、私の手を煩わせる事はありません。
このまま吸い尽くしてしまう事も出来ますね…」
もう、抵抗する力はない。
それ以前に抵抗する気持ちも消え失せている。
このまま…レイジさんに吸い尽くされて死ねるなら、私は…それでも…。
これまでと違う荒っぽい吸血。
牙は痛い所を選んでいるかのように跡を残してゆく。
遠慮なく刺し込まれる牙が喉元に刺さった瞬間、一瞬呼吸を奪われる。
ああ、どうして?
それなのに何故こんなにも胸が幸せな気持ちで一杯なの?
堪らなく、貴方の事が愛しい。
血が溢れるのと一緒に私の気持ちも溢れてくる。
満たしたい。
貴方を満たしたい。
私…このまま本当に死んじゃうのかも。
薄れていく視界が真っ暗になる前に…。
その前に、伝えたい…。
「レイジさん…貴方が…好…き」
ちゃんと…伝えられたかな…。
暗闇を歩き続けたら、いつか光が見えるの?
会いたい、貴方に会いたい。
ずっと傍に…居たいだけなのに…。