die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第17章 episode.17
「貴女の使命なのでしょ?
それでは、貴女に未来はないじゃないですか」
「例えそうでも…ここの皆の事はもう弟みたいに思っているし…。レイジさんの事は…!」
そうだ…。
私はヴァンパイアハンターになる身でありながら、ヴァンパイアを愛してしまったんだ。
その時、レイジさんが私の目の前に座って目線を合わせた。
「…私達を見くびらないで欲しいですね…」
「レイジさん…?」
「この家の者は…ヴァンパイアの王家の血を継ぐ逆巻家の者ですよ。
ハンターごときにそう簡単には殺せない」
「…でも…」
「そんなに心配するなら、試してみますか…?今。
持っているんでしょう?
ここに書かれているナイフを」
ぶんぶんと首を振る。
「そんな事…言わないでください!」
「こんなに近くに居るのですから、初めての狩りの練習にはもってこいですよ」
「こんな時に冗談言わないでください…」
「冗談なんかではありませんよ」
レイジさんは私のそばから離れると、手紙を取り出すのを見ていたのか同じバッグに手を入れて中を探り、ナイフを取り出した。
「ほら、やってみなさい」
柄を私の方に向け、差し出してくる。
手を出せないで居ると、見兼ねたように私の手を取り、待たせた。
見た目は、上質そうな装飾がされているけれど、普通のナイフと変わらないように見える。