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die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第17章 episode.17


お父さんからの手紙をバッグから取り出す。


レイジさんに渡すと、不思議そうに受け取ってくれた。


「これは…?」


「父から私宛の手紙です」


この手紙を読んでもらうのが、一番伝わると思った。


「読んでも?」


「はい」


一度死を決めたんだ。
もしここで殺されたとしても、何も怖くは、無い。


でも…レイジさんにどう思われるのかと考えると怖い。


突き放されて忌み嫌われたとしても仕方ないんだ…。


手元に目を落とし、文字を追う涼しい顔を見ていたら今にも消えてしまいたい気持ちになる。


「ククク…」


目を背けていると、思ってもみなかった声が聞こえる。


笑って…る?


「これは…。
本当に貴女の父親からのものなのですね?」


座って居た椅子から立ち上がり私の方に歩いて来る。


「はい…。
父の字で間違いありません」


「ふふふ…、面白いじゃないですか。
貴女は、これを読んでどう思ったのです?」


「…怖く…なりました…」


面白いって言っている意味が分からない。


「へぇ?怖い?どうして?
貴女は、捕食される側から、狩る側になれるのですよ?」


「…っ。
私には、無理です…。」


「それならいつまでも貪られ続けるだけですよ。
いいのですか?それで」


「ハンターになるくらいなら…その方がいいです」


膝の上で自分の両手を強く握った。
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