die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第17章 episode.17
一旦腕が解かれて顔を覗き込まれると何もかも見透かされているようなその瞳に、囚われたように視線を外せない。
「っ…どうして…、私の記憶が無かった事を…?
私、誰にも言っていない筈で…」
「以前、貴女を催眠状態にした時に聞いたのです。
一部もやがかかったようだと…?
それが、思い出せたのですか?」
そんな…時から…?
本当に、きっともう、隠せない。
今ありきたりな言葉で誤魔化しても、いずれ分かってしまうだろう。
「何故記憶が無くなっていたのか、理由は…分かりました」
「それは…何故?」
「……っ…」
「はぁ…。
分かりました。
お話頂けないのなら、またあの薬を使って聞き出させて貰います。
出来れば…貴女の言葉で聞きたかったのですが仕方ありません…」
レイジさんは立ち上がると、棚へと向かいあの薬を…取り出そうとしている。
私は…私は…。
レイジさん…。
私の足はベッドから降り、ゆっくりと彼に近づく。
「レイジさん、私…怖いんです。
自分の事が」
「どう言う事です?」
「ここに居たらだめだと、逃げる以外思いつかなくて…」
「ゆっくりで構いません。
ちゃんと聞きますから、話して下さい」
「…わかりました…」
全て…話そう。
今分かっていることを、全て。