• テキストサイズ

die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】

第17章 episode.17


「…あの…自分で…」


「動かれるとやりにくいです。
大人しくしていて下さい」


自分でやります、と言いかけたところで遮られた。


なんだか…。
こんな状況なのに、今のこの時間を幸せだと感じてしまう。


乾いていく、私の髪。
暫くすると、ドライヤーのプラグが抜かれた。


「あの、レイジさん…。
私と一緒に居た使い魔くんは…」


「ああ、私が飛ばした使い魔ですね。
貴女を見つけたとの報告もせずに…困ったものです」


「不思議なくらい、私の事を助けてくれたんです。
どうしてなのか分からなくて…。
ご主人様の命令は絶対なんじゃないんですか?」


「ええ、その通りですよ。
私の命令でしたから」


「え…?命令?」


「貴女を見つけたら報告するように…。
ただし、見つけた時、貴女が困って居たら助けになる事を優先させるよう命じました」


「じゃあ…」


「突然居なくなったんですから、困った状況になっていてもおかしくないでしょう?」


「…っ!」


じゃあ、私は…私は結局、逃げ出していた間も、ずっとレイジさんに守られて居たようなものだったんだ…。


「とは言え、ひとつも報告がなかったのでこちらは手間取りましたよ」


ずっと…そばに居てくれた…。


何か壁のようなものが崩れ去る音がする。


「ま、今回は、貴女の人間らしさがきっかけに…」


連れ戻されてからも、こんなに良くしてくれて…。
/ 316ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp