die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第16章 episode.16
レイジさんは何か探るような瞳で私の顔を覗き込んできた。
心臓がどきんと大きくはねる。
さっき転んだ時に痛めたであろう足首は、角度によってちょっと痛む。
「…っくしゅっ」
沈黙は私のくしゃみで破られた。
「やれやれ…。
貴女は、とにかく入っていて下さい。
私はすぐに追いかけますので」
ペタリ…。
お風呂の床に足を着ける。
すぐ、来るって…どうしよう。
まさかこんな事になるなんて…。
私の心臓がもたないよ…。
と、とりあえず湯船に浸かっておこう。
シャワーで軽く流し、バスタブに身を沈めると、乳白色のお湯と温かい湯気が身体を隠してくれた。
「はぁ…。あったかい…」
レイジさんは、どうしてこんなに良くしてくれるんだろう?
他の、皆だって…。
「失礼します」
「!は、はい」
扉を開ける音がして、入ってくる気配がする。
「あ、貴女はそのままで。
浸かっていて下さい」
「あ…えっと…」
戸惑っていると、声が後ろから聞こえてくる。
「言われた通りにするように。
そのままで、目を閉じていて下さい」
「はい…」
目を閉じて視界が暗くなると、バスタブの縁に頭を乗せられた。
首に柔らかくて温かい感触。
これはホットタオル…かな。
髪にシャワーが掛けられてる。
「あ、あのレイジさ…!」