die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第16章 episode.16
「さ、分かったら早く出て行きなさい。
せっかく沸かしたお風呂がさめてしまいます」
「あっ、ちょ、ちょっと!
このままボクに廊下に出ろって言うの?
わかったから、せめて服を着させてよ」
ライトはごそごそと服を着ながら、不満気な顔をしている。
「男と一緒にお風呂に入る趣味はないから、仕方ないけど今回は出て行ってあげるよ。
…は〜ぁ〜、残念だったな」
最後に帽子を被り、思わせぶりな視線を送ってくる。
「な、何です」
「ふふ〜ん♪
せいぜい、二人してのぼせないようにね〜、レイジ」
「んなっ…!ライト!
私はそんな…」
私にだけ聞こえるように小声で言い、出て行く。
「じゃあね、マイちゃん♪
ボクとはまた今度、入ろうね♪
今日は、ゆ〜っくり、入るんだよ?」
「う、うん…。
ありがとう、ライトくん」
あの含んだような笑いは…。
また、私をからかっているのですね…!
振り返ると既に扉が閉められ、脱衣所にふたり残された。
「…はぁ…まったく、ライトは…!」
「すみません…。
ご迷惑かけて…」
申し訳なさそうな声が耳に入る。
「いえ…。ゴホン。
立てますか?」
「はい、なんとか…。
あ、本当にもう大丈夫です。
一人で入れますから……イタッ!」
「………」
「…あ、あはは…。
ちょっと痛いけど、平気なので…」
「本当に…?」