die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第16章 episode.16
久しぶりにお腹が温かい重みに満たされて、それはまた私をぐるぐるとした考えの中にいざなおうとする。
これから私は、どうしたらいいのだろう…。
「食べましたね。
では、ちょっとこれを持って」
「…え?」
なぜか突然本を手渡された。
読め…と言うこと?
でも、こんな分厚くて難しそうな本…。
意味が分からず手元を見つめていたら、ひょいと抱きかかえられた。
「わっ!
…どこ行くんですか?」
本が落ちないようにお腹に引き寄せる。
「暴れると危ないですよ?」
急に距離が近くて、顔が熱くなる。
階段を降りて…。
何処に行くんだろう。
歩く揺れに、触れた部分の感触に、心地いい気持ちになって来る。
「はい、着きましたよ」
「ここは…お風呂…?」
「先程沸かしておきました。
身体が冷えていたようですから、きちんと温まってください。
私はここに居ますから、くれぐれも早まらないように。
いいですね」
そう言って、私の手から取った本を持って前の廊下で読み始めた。
「あの…」
「どうしました?」
「い、いえ…。
ありがとうございます」