die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第16章 episode.16
急に大きな声を出されて驚いた瞬間、顔が強い力で上を向いていた。
あごを上に向けて指で口をこじ開けられようとしている。
「うぐ……ぁ」
息が苦しい。
こじ開けられた私の口に、レイジさんが口付けた。
口の中に温かいものが流れ込んでくる。
「…んん!」
「そのまま飲み込んで…」
「けほっ…けほっ……。
はぁっ…」
行き場のない口の中の物はむせた結果、ブランケットの上に吐き出してしまった。
「何度でもやりますよ。
さ、口を開けて」
呼吸が荒くなり、頬を強く持たれて口を開けざるを得ない。
もう一度口を塞がれた。
「…ん…!」
今度は私が吐き出す事を許さないように唇は離してくれない。
「んーー」
私の喉を温かいものが落ちてゆく。
それは胃にゆっくりと入っていった。
「はぁっ…。
やっと飲み込んでくれた…。
本当に手の掛かるひとですね…」
呆れたような声に、似つかわしくない行為。
憂いを帯びた瞳が私を見てる。
「ううっ…、ひっく、……美味しいです…レイジさ…」
私の言葉は、柔らかい口付けに塞がれて飲み込まれた。
「んぅ…ん…」
一度離れて私の瞳を覗き込むと、もう一度塞がれた。
「は…っん…んぅ…」
身体の奥から熱が帯びる。
一気に身体中に広がって、頰がその熱を逃がすように赤くなっているに違いない。