die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第15章 episode.15
一旦力を抜いて手のひらを開き、捻るように一気に引いた。
それでも、手首の拘束は解く事が出来ない。
「ふっ。
どう足掻いても、もう貴女は逃がれる事は出来ません。
無駄な事は辞めて、大人しくして下さい」
「…嫌…です…。
離して…下さい」
どれだけ抵抗の限りを尽くしても、私の体力が奪われるばかりで、少しも効いていないようにびくともしない手に絶望を感じていた。
絶対に、絶対に…もう帰れないのに…。
お願いだから逃がして…。
身体中の水分が涙となって流れていく。
「んふ。
スバルくん、マイちゃんを押さえててよ」
「…チッ!
こんな事したくなかったけど仕方ねぇ!」
背中に腕を回され、あっという間に私の視界は斜めになり、地面の砂との距離がなくなる。
「嫌!どいて」
背中に重い力がかかり身動きが取れなくなってしまった。
「…じたばたすんな…。
乱暴したい訳じゃねぇんだ」
抵抗虚しくスバルくんに砂浜の上に押さえつけられる。
「ごめんね〜、マイちゃん。
ちょっとこれ、飲んでね♪」
小瓶に入った液が口に垂らされる。
「…げほっ…げほ」