die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第15章 episode.15
何度読んでも、ここに並んだ文字は私におぞましい気持ちを与える。
ズンと重くなる胸の奥を感じて、目を閉じため息をつく。
私には、出来ない。
鞄からのぞく短剣を取り出す手が小さく震える。
出来る訳がない。
だってもう逆巻家の皆の事は弟みたいに思ってしまっていて。
それにレイジさんの事は…。
明日朝出る船に乗れば一気に遠くに行ける。
今はとにかく、遠くへ。
そうして出来るだけ遠くで、私は私を終わらせる。
この剣で。
ごめんなさい、お父さん。
私には、出来ない。
星をぼんやり見ていると思い出すのは逆巻家の皆の事…。
「皆、ご飯食べてくれたかな…」
もう、二度と会えない。
会っちゃだめなんだ…。
実感すると視界が涙でぼやけて来る。
「……マイ」
……幻聴?
今、レイジさんの声がした気がした。