die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第15章 episode.15
「うん。
ほら、商店街の方で食材の買い物してたろ?
その時にあの子よく花屋に寄っててさ。
その花屋の奥さんが、苗の仕入れをしてるって言う村に今日行ったら似てる子を見たらしいよ。
…奥さんは、あの子がしばらく留守にするって話を知らなかったから、人違いかと思って声掛けなかったみたいなんだけどね。
さっきあたしと話してて、じゃあやっぱりあれはマイちゃんだったんじゃないかって気にしててさ」
例え人違いだったとしてもいい。
手掛かりが何も無い今、少しの可能性でも当たってみる価値はある。
「はい。
今日の分のたまご。
何か事情があるんだろうけどさ、随分憔悴してみえたって言うからもしあの子だったなら、元気付けてやってよ」
彼女はこうしていつも周りと良好な関係を築いていたのか。
手元のたまごを見て思う。
それが、人間と言うもの…なのか。
聞いた村はこの町から少し離れた場所にあった。
ライトとスバルも行くと言うので三人で向かう。
リムジンが到着すると随分視線を感じる。
小さな村には場違いな光景に映っていたようだ。
「では、私はこちらを探します。
ライトとスバルもよろしくお願いしますね」
「…チッ」
「はいは〜い♪
じゃ、ボクこっち行ってみるね」
露店が並ぶ商店街、道幅が狭く坂のある路地裏、田園地帯…、田舎らしい風景が沢山ある村だ。
やがて日は沈み、空気に静けさが増してくる。
夕焼けが綺麗だったからか、ここは随分星がよく見える。
村を見渡せる高台に出ると、村のはずれに海が見えた。