die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第15章 episode.15
彼女が姿を消してから二日目の夜を迎えようとしている。
何の手掛かりも得られていない。
捜索させている使い魔も戻って来ていない。
今思えば、居なくなる前日…いつもと様子が違って居た。
しかし、それは今だから言える事…。
記憶の件に関しても、今回の件に関しても、悟られないように行動する、やはり思慮深いひとのようですが…。
それはそれで考え物ですね。
突然、この手から温もりが消え去り、このままでは二度とあの瞳を見つめる事が出来ないなんて…。
酷く疲れているのに眠れない。
夕方、屋敷の外に出ると声を掛けられた。
「あ!逆巻さんちのお兄ちゃん。
あんた元気にしてたのかい?
おとといだっけか、ここでマイちゃんに偶然会ったんだけど暫く留守にするんだってね?
色々甲斐甲斐しく動いてくれてたみたいだから、また大変になるね」
相変わらず、よく喋る女性だ…自治会長は。
「でもさ、今日昼間見かけた人がいるんだよ、マイちゃんらしき子を」
「…!
それは…本当ですか!?」