die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第15章 episode.15
「うわっ!」
頭上にコツンとした痛みを感じ思わず声を出した。
「…何だ、木の実か…」
上を見上げると生い茂る葉の隙間に沢山実がついているのが見える。
さっきからこうやってビクビクしてばかりいる。
大概、正体は鳥だったり枝だったり、こうして木の実だったりなんだけど、情けないなぁ。
その時、見上げる視界の隅に、黒く羽ばたくものが見えた。
あ…!
あれはもしかして…?
「…ねぇ!
もしかして、きみ使い魔さん?」
思い切って話しかけてみると、ホバリングするようにしながら少し降下してきた。
「私を探しに来たの…?」
返事を得る事は出来ない。
でも、きっとそうだ。
もし違ったならそれでもいい。
「きみにお願いがあるの。
あなたへの命令がもし、私を探す事なら、聞いて」
使い魔への命令はきっと絶対だろう。
だけど、手を打てるのなら打っておきたい。
「ご主人様の事を思うなら…。
私を見つけた事、報告しないで」
困惑したように見える。
分かっては貰えない…よね…。
私よりご主人の命令が優先だろう事は、簡単に想像出来る。
その時、頭上の高さにいた使い魔くんが私の肩に降りた。
「分かって…くれたの?」
返事をするかのように羽根をバタバタさせる。
可愛い…。
お腹を撫でると目をぱちくりさせた。