die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第14章 episode.14
明け方、雨はまだ強く地面を打ち付けるのを辞めない。
何処かで雨を凌げているのだろうか。
寒くはないだろうか…。
許せる、はずがない。
私に黙って勝手に出て行くなど。
空がうっすらと白み始めても気配を見つける事が出来ず、結局その日は彼女を連れ戻す事が出来なかった。
——私は、無能なのか?
彼女ひとりも守れないのでは、シュウの事を糾弾できない。
あぁ〜、しまったな…。
水と食べ物は何とかなると思っていたけれど…。
お手洗いの事を考えていなかった。
目立たない道を選んで歩いて来ていたけれど、こればかりは仕方ないよね…。
少し先に灯りを見つける。
きっとコンビニだ。
あそこで少し休憩しよう。
レインコートは、どうしよう。
濡れてるから、そのままお店に入ったら迷惑かけちゃうよね。
一旦軒下で脱いでから…。
頭の中で考えながら、お店の前の人影を見て、素早く壁に身を隠した。
まさか、レイジさん…?
似ているだけで、きっと別人だよね。
こんなところにいる訳ないし…。
恐る恐る壁から覗いてみる。
嶺帝の制服で、黒髪の彼はちょうど向こうを向いていて、背もレイジさんと同じくらいに見えるけれど、傘も挿しているせいかよく分からない…。