die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第14章 episode.14
シュウさんへ。
シュウさんにとっても、この家にとっても、静かな日々が続きますようにと、願っています。
お世話になりました。
スバルくんへ。
スバルくんの優しさに救われていました。
スバルくんと一緒に居られる人は幸せ者だと思います。
これから貴方がどんな素敵な大人になるのか楽しみです。
「なんだよ、これ?
意味わかんなくね?」
「もう戻らないって雰囲気の手紙だよねぇ〜」
「何か聞いてないんですか、レイジ」
「お姉ちゃん…」
「オイ!
お前が…お前といる時のあいつが、幸せそうな顔してるから俺は……。
クソッ!!」
スバルがまた掴みかかってきた。
「あいつが、こいつ…妹を残して出て行くとは思えねぇ。
こんなの普通じゃねぇだろ。
あいつに何かあったら、お前のせいだ」
「…やめとけ、スバル。
レイジ、話がある」
「…そうですね…」
シュウが立ち上がり二人でダイニングを出る。
「こんな用意してあるって事は、衝動的なものじゃなく計画してたって事だよな…。
お前…、何も知らなかったのか?」
「……」
「まさかお前が逃がした……、訳ないな…。
お前、動揺してるのか?
フッ、珍しいな」
シュウのからかい半分の視線にも、すぐに反論する言葉が出てこない。
「あいつらも随分彼女に懐いてたようだしな…。
第一あの件…解決していないんだろう…?」
あの件…、そうだ。
父上からの伝達外の来客…。
この事は、それが関係しているのか…?