die Phasen des Mondes【ディアラヴァ】
第2章 episode.2
「や、やめてください」
なんとかそう絞り出して胸を押し返すけれど、ビクともしない。
「えぇ、どうしてさ〜。
アヤトくんばかり、ズルイじゃない。
ボクにも、味見させてよ」
「や、嫌!」
「んふ。ボクはアヤトくんと違って紳士だからさ、部屋の前で君が出てくるのをず〜っと待っていたんだよ。
偉いでしょ?
だ、か、ら。
…いいでしょ?」
どんなに抵抗してもビクともしなくて、だんだんパニックになってくる。
どうしよう、本気だこの人…!
「あは!いいねぇ!たまらないよ…。
もっと拒否して、いいんだよ?」
左耳に息を吸う音がして、首筋に痛みが走る。